安全靴って何ですか?安全スニーカーとかセーフティシューズとか言われてますが・・・
JISマーク付安全靴
●先芯入りの作業靴の事を、すべてひっくるめて「安全靴」と呼んでいますが、厳密にいいますと「安全靴」と呼んでいいものは、JIS規格(下に表があります)に合格した、JISマーク付の靴のみになります。
原則として、日本製のみですね。靴底に「JIS」の刻印があります。これだけが、「安全靴」と呼んでいいものになります。
安全スニーカー
それ以外の先芯の入ったスニーカータイプや、まぁその他いろいろな種類が出ていますが、これらは本当は「安全靴」と呼んではいけないんです。
だから、「安全靴」と書いて売ってもダメなのですが。。。実際には「安全靴と呼んではいけない靴」の方が種類が多く、数も売れていますので、もうひっくるめて総称とでもいいましょうか、
安全靴=先芯の入った靴 みたいな言い方になっています。
お客様から、「安全靴ないか?」 と言われたら、要するに「安全靴」も「先芯入りの作業靴」もすべて入っているんです。それなのに、本当の「安全靴」だけすすめてたら怒られちゃいますよね。で、仕方なくそういった商品も「安全靴」として、というか、「安全靴」と呼んで売っています。
<<一応このサイト上では、すべてひっくるめて安全靴と呼んでます。ご了承くださいね。>>
●踏抜き強度という言葉が出てきましたが、「安全スニーカー」と呼ばれている「安全靴」ではないタイプは、踏抜きに関しては検査していません。先芯部分に関しては、一応JISの基準をクリアしています。(検査しています)S種、L種 などあります。で、こちらは「JIS規準適合品 ○種相当」というように書かれています。
●先ほどの、踏抜きに関してですが、スニーカータイプは軽さを売り物にしている商品も多いため、どうしてもスポンジ系統の素材を使用しているものが多いです。それだけで弱いなと思えるでしょう。要は踏抜きがご自分が働く現場で必要かどうかですね。
先芯入りたび靴
●それから、作業靴、いわゆるたび靴とか言われている布製の靴に先芯が入った商品がありますが、これはあまり俗称でも安全靴とは言いませんね。「作業靴の芯が入った奴」とか言ってます。このタイプの先芯は樹脂の柔らかいものが多いです。
と言うのは、作業靴は他のスニーカーみたいに4E(幅広)ではなく、細身なので鉄芯だと痛いんですね。で、柔らかい樹脂を採用しているんです。ただ、その分JISの規準の検査などは一切していませんので、単に先に芯が入っている靴、という事になります。ただし、価格的には安いです。
労災がおりるかどうかの規準が、JISの規格をクリアしているかどうか、という部分もありますので、この辺りはご自身で判断していただくか、現場に聞いてください。
ちょっとまとめてみました。
ちょっとわかりやすくしただけですので、これが正しいというものではございません。あくまでも参考程度ということで・・・急に検査始めたり、というような事がありますので。
呼び名 | JIS基準 | JISマーク | 先芯 | 踏抜き |
安全靴 | 合格 | 表示あり | 合格 | 合格 |
安全スニーカー | 適合(自主検査で合格) | 表示無し | 適合 | 検査規準なし |
セーフティシューズ 先芯入りスニーカー |
〃 | 〃 | 〃 | 〃 |
たび靴系統の 先芯入り作業靴 |
検査無し | 〃 | 検査無し | 検査無しというより ありません |
安全靴のJIS規準です。
■甲被による種類
種 類 | 甲 被 |
革 製 | 皮 |
総ゴム製 | 耐油性ゴム |
非耐油性ゴム |
■作業区分による種類(記号)
作業区分 | 記 号 |
重作業用 | H |
普通作業用 | S |
軽作業用 | L |
■付加的性能のある安全靴の種類
付加的性能 | 記 号 |
耐踏抜き性 | P |
かかと部の衝撃エネルギー吸収性 | E |
足甲プロテクターの耐衝撃性 | M |
安全靴のJIS基準(JIS T8101抜粋)
■革製安全靴の性能
種類 | 重作業用 | 普通作業用 | 軽作業用 | ||
記号 | H | S | L | ||
性能 | 耐圧迫性 | 圧迫荷重 | 15kN{1,531kgf} | 10kN{1,020kgf} | 4.5kN{459kgf} |
耐衝撃性 | 重錘質量 | 20kg | |||
落下高さ | 51cm | 36cm | 15cm | ||
中底と先芯のすきま | ※試験時の中底と先芯のすきまを参照 | ||||
表底の剥離抵抗 | 300N{30.6kgf} | 250N{25.5kgf} |
■試験時の中底と先芯のすきま
サイズ(cm) | すきま(mm) |
23.0以下 | 12.5以上 |
23.5~24.5 | 13.0以上 |
25~25.5 | 13.5以上 |
26~27 | 14.0以上 |
27.5~28.5 | 14.5以上 |
29以上 | 15.0以上 |
■付加的性能のある安全靴の性能
耐踏抜き性 | 性能 |
記号 | くぎ貫通時の力 |
P | 1,100N{112.2kgf}以上 |
かかと部の衝撃エネルギー吸収性 | 性能 |
記号 | 吸収エネルギー |
E | 20J{2.0kgf・m}以上 |
足甲プロテクターの耐衝撃性 | 性能 |
記号 | 最低の高さ |
M | 25mm以上 |
静電気帯電防止安全靴のJIS基準(JIS T8103 抜粋)
■静電気靴の性能と種類
静電防止機能 | 1.0×105≦R≦1.0×109Ω |
種類 | 甲被 | 記号 |
静電安全靴 | 革 | AS-P (Anti-electro Static Protective Footwears) |
耐油性ゴム | ||
非耐油性ゴム | ||
静電作業靴 | 革 | AS-W (Anti-electro Static Working Footwears) |
ゴム | ||
PVC | ||
ウレタン | ||
布または合成樹脂引布 |
安全靴(JIS T8101該当品)の使用上の注意
なんで安全靴を履かなあかんの?って事ですが、やっぱり怪我防止なんですよね。
●重たいものを落としたりした場合
●台車などに不意に踏まれた場合
●釘など尖ったものや危険物などある現場の場合
●壊れた建物内へ入る場合
まぁこんな時は安全靴を履いていた方が、普通の靴より安全ですよね。自分が物を落としたりしなくても、落ちてくる場合があります。それで怪我する人がいて、その怪我防止に安全靴を履け、と言われるようになりました。
ですので、今は安全靴を履かずに足に怪我した場合は、労災がおりない事があります。特に安全靴着用義務の現場では、安全靴を履かないと入れてくれません。
で、やっぱり履いてると安心できますよね。
車のシートベルトだって最初は邪魔臭かったけど、今ではしないと怖い、って状態になってます。私はそうですが、皆さんはいかがですか?それと同じで、やっぱ店番でも履かないと怖いですね。
極端な結論を言いますと、何故履くの? ではなくて、履かないと怖い、ですね。
安全靴を履いての怪我ですが、労災のおりる基準はたぶんですがこうです。
要するに規格にのっとって通常の使用での事故の場合は、労災がおります。スニーカータイプのように先芯部分だけがJISの規準に適合しているタイプですが、一応今まではでているようです。
ただし、上記のいように踏抜きの危険がある現場でそういった安全スニーカータイプを履かれてた場合は、難しいかもしれません。たぶんそういった現場は踏抜き防止を履け、になってるはずなので。
ただし、無茶したらあきまへん。蹴っ飛ばしたりとかで足の指が折れたりしても出ません。
これって結構勘違いしている方も多いのでは・・・
耐油底ってのは、文字通り油に耐える底なので、油には強い(劣化しない)ですが、滑らない訳ではありません。滑る、滑らないはやはり底の形状ですね。 滑りにくいパターンの底なら滑りにくいです。あと、柔らかさですね。
また一般的に硬い底は滑りやすいし、柔らかい底は滑りにくいです。これもソールパターン(底の形状)にもよりますが・・・滑りにくいのはアメゴムの底なんですが、安全スニーカーでは少数ですね。厨房用の先芯入りのコックシューズは滑りにくく耐油底です。
また、最近のスニーカータイプの底はたいがい耐油底になってますね。ですが、滑りにくいかどうかは、底が硬いか柔らかいかで、またパターンを見て判断してください。
静電靴は、身体の静電気などを軽減する為、地面に静電気を逃がす役割をはたす安全靴です。静電靴のJIS規準はここ!
ガソリンスタンドなどで身体に静電気を帯びていると、金属に触った時にバチッときて、その火花で引火って事もありえます。ガソリンは気化が早いので、給油中は給油口近辺に気化したガソリンが充満してます。給油口からモヤモヤしたものが見えると思います。あれがそうです。
そこに車に触れてバチッと火花が飛んで引火したら・・・ゾッとしますよね。
過去には花火工場でそういった事故がありました。これは一瞬で大惨事になります。付近にも被害者がでます。また、精密機械の工場なども人体に静電気を帯びてほこりなどが付着して、部品などに移らないように静電靴を着用しています。もちろん服も無塵衣や帯電防止の服をきていますが。
静電靴を電気工事の人が履くとどうなのか。ですが、靴を通して地面へ電気を逃がすので通電する事になりますが、一応抵抗がありますので(上記の静電靴のJIS基準を参照)感電はしないと思います。できればゴム底で電気を通さない方がいいと思います。